小さい頃に習うこと、大きくなってわかること
ただ、彼女の背中からは暖かな雰囲気が出ていた。
大通りに出ると、ドラッグスターは車と並んで走った。
大通りの車道なんて普段は立ち入ることすらできない。
今、そこを走っていることに感動していると、最初の信号はやってきた。
いつも見ている縦の信号とは違って、3色の信号が横に並んでいる。
それを見て、改めて自分がバイクに乗っていることを実感していると、ドラッグスターは減速を始めた。
前の信号はまだ青のまま。
それを疑問に思った瞬間、信号はすぐに黄色に変わった。
アイチは黄信号できちんと止まる。
「信号、守りすぎじゃない?」
からかうようにそう言うと、彼女はビシッと言った。
「うるさい。それぐらいでいいの」
本当に安全運転を意識しているのが伝わってきて、何だか笑えてきてしまう。
自転車の時は平気で信号無視するくせに。
「ここからちょっとスピード出すよ?怖かったら言って?」
「了解ー」
本当に彼女は心配性だ。
言い出したあたしが怖がっていてどうするんだ、なんて思いながらも、彼女の気遣いに返事をする。