小さい頃に習うこと、大きくなってわかること


ただ、彼女の背中からは暖かな雰囲気が出ていた。



大通りに出ると、ドラッグスターは車と並んで走った。


大通りの車道なんて普段は立ち入ることすらできない。


今、そこを走っていることに感動していると、最初の信号はやってきた。


いつも見ている縦の信号とは違って、3色の信号が横に並んでいる。


それを見て、改めて自分がバイクに乗っていることを実感していると、ドラッグスターは減速を始めた。


前の信号はまだ青のまま。


それを疑問に思った瞬間、信号はすぐに黄色に変わった。


アイチは黄信号できちんと止まる。


「信号、守りすぎじゃない?」


からかうようにそう言うと、彼女はビシッと言った。


「うるさい。それぐらいでいいの」


本当に安全運転を意識しているのが伝わってきて、何だか笑えてきてしまう。


自転車の時は平気で信号無視するくせに。


「ここからちょっとスピード出すよ?怖かったら言って?」


「了解ー」


本当に彼女は心配性だ。


言い出したあたしが怖がっていてどうするんだ、なんて思いながらも、彼女の気遣いに返事をする。



< 220 / 312 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop