小さい頃に習うこと、大きくなってわかること
アイチの誕生日1時間前のエッグは、いつもと何1つ変わらない光景だった。
けれど、その水面下ではしっかり準備が整っている。
いつものように何気ない話をしながらも、時計を何度となく確認した。
エッグの時計もこんなに頻繁に見られることはないと思う。
3分ほど早まっていた時計も昨日、しっかり時報を聞きながらセットしたから狂いはない。
いよいよ深夜0時まではあと1分だ。
ドキドキした気持ちを落ち着かせるために、アイスティーを1口飲んだ。
あと45秒。
カバンの中に隠してあるクラッカーをアイチに見つからないよう、後ろ手に持つ。
あと30秒。
いよいよアイチの誕生日が始まる。
あと15秒。
駆が明るい口調で言った。
「それでは愛生の誕生日まで、みんなでカウントダウン始めまーす!」
アイチが顔を上げてみんなを見たと同時に、カウントダウンはスタートする。
「10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、ハッピーバースデー愛生!」
深夜0時丁度。
店内にはカラフルなリボンが放たれた。