小さい頃に習うこと、大きくなってわかること
「はいはい?」
「駆!落ち着いて聞いて!」
そう言いながら、自分の方が取り乱していることに気付いた。
いつもと違うあたしの声に、向こうからは真剣な声が返ってくる。
「真海子、落ち着け。どうした?」
「アイチがっ、アイチが事故ったって!病院に来てって!みんなにも連絡しないと!」
今にも泣き出してしまいそうだった。
「わかった。みんなに連絡しとくから。真海子は千津さんと愛生の家の前の駐車場で待ってて」
駆はびっくりするほど落ち着いた声で、的確な指示をしてくれた。
そのおかげもあって少し落ち着いたあたしは「わかった」とだけ言って電話を切ると、そのまま家を飛び出した。