小さい頃に習うこと、大きくなってわかること
それから10分もしないうちに、みんなを乗せた修介のワゴン車があたしたちの前に到着した。
駆は修介にも連絡して車を出してもらったらしい。
千津ちゃんと2人、急いで車に乗り込むと、運転席には修介が、後部座席にはチェリーとシーやん、勝ちゃんと駆が座っていた。
こんな時間にみんなの顔を見るのには違和感がある。
みんな同じ、スウェットやジャージ姿で、顔が青ざめていた。
「こんな時間にどうもありがとね」
助手席に座った千津ちゃんがみんなにそう挨拶すると、車内はすぐに事故の詳細を聞く声で溢れた。
「本人は無事なんですか?」
「どれくらいのケガなんですか?」
「どこで事故を起こしたんですか?」
「こんな時間にどこに向かったんですか?」
けれど、その答えはすべて「詳しいことはわからない」だった。
そう言われる度、みんなは口を閉じてうつむく。
やがて車内は怖いくらいの静けさに包まれた。
詳しいことがわからないことを知ると、みんなはもう質問をやめて、今度はしきりに窓の外の様子を伺い始めた。
いてもたってもいられないと言うのは、きっとこう言うことを言うんだと頭の隅で思った。