小さい頃に習うこと、大きくなってわかること
今のこの時間が歯がゆくて仕方ない。
今すぐにでもアイチの側に行きたいのに。
アイチが大変なことになっていると言うのに、仲間のあたしたちはこうして車に乗っていることしかできない。
座っていることしかできない。
自然と両手をぎゅっと組んで神様に祈っていた。
アイチの無事だけを祈っていた。
横を見ると、チェリーもシーやんも勝ちゃんも駆もそうしている。
ここから助手席は見えないけれど、きっと千津ちゃんもそうしているに違いない。
みんなの思いはただ1つ。
アイチの無事だけを祈っていた。
車が病院の入口に着くと、みんな一斉に車を飛び出した。
救急外来の扉を開けて、受付の人にアイチの関係者であることを伝える。
その人に案内されるがまま、あたしたちはその後に続いた。
ただアイチの無事だけを祈っていた。
祈っていた。