小さい頃に習うこと、大きくなってわかること
そんな2人を横目にシーやんは涼しい顔。
「ったく、何で髪型なんかで言い合いになってるんだよ」
シーやんはいつもと違う大人な目線を2人に向けると、勝ちゃんに作ってもらったばかりのコーラを一口ごくりと飲む。
そして討論にふさわしい議題についてアドバイスをした。
「どうせならもっとマシなことで言い合えよ」
「例えば?」
そう聞いたチェリーにシーやんは自信満々の態度で答えた。
「ヤンキーと不良の違いについてとか、ヤンキーを目指す時の心意気とか」
ものすごい自信を持ってされたアドバイスだったけれど、その場には何とも言えない空気が広がって行く。
それを感じ取ってか、シーやんはさらにアドバイスを付け加えた。
「それか日本の旧車について」
空気が凍りついた。
ここまで来ると、もう誰もリアクションをしない。
いや、できない。
「勝ちゃん、何かデザート余ってない?」
チェリーが気を取り直すようにその空気を破る。
「あぁ、何かあったかなぁ」
勝ちゃんはカウンターの下にある冷蔵庫からデザートを探そうとしゃがむ。
チェリーはそんな勝ちゃんをカウンターから覗くようにして見る。