小さい頃に習うこと、大きくなってわかること
もうどうしたらいいのかわからなくて、だからもっともっと走って遠くまで行きたくて、けれど、勝ちゃんがそれ以上は走らせてくれなかったから、あたしはその場に座り込んだ。
まだ明け方だと言うのに、外は真夏の暑さだった。
それでも体の震えが止まらない。
体が勝手にカタカタと小刻みに震えてしまう。
怖くて怖くて仕方なかった。
「真海子!落ち着け!大丈夫だ!」
勝ちゃんはあたしを力いっぱい抱きしめてくれた。
あたしも力いっぱいしがみつく。
けれど、この恐怖は消えていかない。
アイチを失うことが何よりの恐怖だった。
けれど、その恐怖が現実に起こってしまった。
怖い、怖い、怖い、怖い。
あたしはただ、その場で震えていることしかできないでいた。