小さい頃に習うこと、大きくなってわかること
エッグの階段を降りる。
板チョコみたいなドアを開ける。
そこにはいつもと違うパーティー仕様の店内があった。
壁に大きく貼られた「愛生 HAPPY Birthday」の文字。
その周りはクリスマスの時に使う電飾で飾られ、ピカピカと不規則に光っている。
みんなはもう揃っていた。
けれど、その表情は暗く沈んだままだ。
チェリーに限ってはまだ目が真っ赤だった。
その顔を見たら、あたしまでまた泣きたくなってきたから、慌てて目を逸らした。
テーブルの上にはアイチの好きな焼き鳥とジンジャーエール、みんなで決めた手巻き寿司の材料が並んで、真ん中にはケーキのためのスペースが空けられていた。
作ってきたケーキを箱から出すと、そのスペースに置く。
アイチのヘルメットをイメージしたオレンジ色のケーキ。
「すげー、メットだ!」
シーやんが明るくそう言うと、みんなもそれに同調した。
「さすが真海子!」
「細かいとこまでキレイだな」
「早く食いてー」