小さい頃に習うこと、大きくなってわかること
涙声の歌はまだ終わらない。
シーやんがあたしを見て、プレゼントの箱を指差した。
何のことかわからなくて首を傾げると、彼女は耳打ちをして言った。
「開けてやれよ」
シーやんの頬を涙が伝う。
あたしは1度、大きく頷いて、涙を拭うと、プレゼントの包装紙を丁寧に開けた。
中の箱からバースデープレートを取り出す。
そこには小さい頃のアイチがディンゴにお座りを指示しているシルエット。
みんなで持ち寄った写真の中から決めた1枚だ。
バースデープレートをテーブルに置いたところで丁度、歌も終わりを迎えた。
途端に部屋にはみんなの泣き声や嗚咽だけが響く。
それはいつまでもその場に響き続けた。