小さい頃に習うこと、大きくなってわかること


バカみたいな質問だとは思った。


死んでいないなら、こんなことにはなっていない。


それでも、どうしても聞かずにはいられなかった。



2人はその質問については何も答えなかった。


代わりにシーやんが「マジで寝てるみたいだった」と、一言だけ言う。


チェリーもすぐその言葉に続いた。


「バイクの事故だとは思えないほど、傷がなかったよ。先生もあれは奇跡だって驚いてた」


それを聞いたら、アイチの寝顔が頭の中に浮かんできた。


それは思ったよりはっきりと頭の中に写し出されて、そのアイチは息をしていなかった。


全く動かないアイチ。


それがあまりにもリアルに頭の中に浮かんできてしまったから、あたしは慌てて別のことを考えた。


「アイチ、どこに行こうとしてたの?」


まるで小さい子どもだと思った。


そんなこと、2人に聞いたってわかるわけがない。



けれど、何でわざわざ明け方にバイクなんて出したのか、一体、どこに向かうつもりだったのか、気になって気になって仕方ない。


彼女が誕生日に向かいたい場所。


誕生日に会いたい相手。


そこまで考えてぞっとした。


まさか…!



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