小さい頃に習うこと、大きくなってわかること
けれど、あたしはどうしてもあの男が何かしたような気がして仕方なかった。
何かが引っかかる。
何かが引っかかって、納得できない。
納得できないあたしはさらに質問する。
「事故、どんな状況だったの?」
病院でしばらく先生と話していた2人なら、きっと詳しいことを知っていると思った。
そしてその予想通り、チェリーは答えた。
「スピードの出し過ぎだったらしいよ」
「スピードの出し過ぎ!?」
あまりにもアイチとは縁のないその言葉に、あたしは思わず聞き返した。
あの男の影がむくむくと大きくなっていく。
チェリーはさっきのシーやんと同じく、落ち着いた声で言う。
「今回の事故、スピードの出し過ぎでカーブを曲がりきれなかったらしいんだ」
「それおかしいよ!アイチはそんなことしない!」
思わず声が大きくなった。
あれだけ安全運転を心がけていたアイチが、スピードを出し過ぎるなんてあるわけない。
「するよ」
シーやんの声に彼女を見ると、彼女は冷静な目をして言った。
「お前にはそう言う姿、一切見せなかっただけで。現にあいつ、スピード違反で何度か捕まったことあるし」
「嘘…」