小さい頃に習うこと、大きくなってわかること
「お前がどんなに逃げてたって、もうあいつは迎えに来れないんだからな?」
そうだ。
アイチはいつだって逃げるあたしを迎えに来てくれた。
アイチが引っ越して行く時。
駆と付き合い始めた時。
捨てられるんじゃないかと怖くて家にこもるあたしを、彼女はいつだって迎えに来てくれた。
アイチがいたから、彼女に甘えていられたから、あたしはいつも逃げていられたんだ。
涙が頬を伝ってベッドに落ちた。
「明日…会いに行ってくるよ」
やっとの思いでそう答えた。