小さい頃に習うこと、大きくなってわかること
第四章
残酷な現実
目を開けると、部屋の中がうっすら明るかった。
ものすごいだるさが体のあちこちに残っている。
眠れたのか、眠れていないのか、わからないくらい、体も心も重たいままだった。
夢は見なかった。
ただずっと真っ暗な闇の中にいたような気がする。
目を覚ました瞬間から、昨日の出来事は鮮明に思い出された。
アイチはもうこの世にいないんだと思うと、また涙が出そうになる。
時計を見ようと体を少し起こしてケータイを探すと、代わりに同じベッドで眠るシーやんとチェリーが目に入ってきた。
2人とも今はとりあえず眠れているみたいだ。
1度、起きてしまうと、また眠るのに苦労する。
2人を起こさないように、そっとアイチの家に行く準備を始めた。
アイチの部屋の前に来ると、また恐怖に襲われた。
合い鍵を持つ手が震える。
情けない。
情けないけれど、怖くて怖くて仕方がない。
このドアを開けてしまったら、あたしはもう現実から逃げられなくなってしまう。
今はまだ、アイチの死を実感できていないから、彼女がどこかで生きているんじゃないかなんて思うことができる。