小さい頃に習うこと、大きくなってわかること
そこにあったのはやっぱり予想通りのもの。
霜の降りた大きな四角いドライアイス。
胸を突き刺されたような思いだった。
重そうなそれが遠慮なく、体の上に乗せられている。
そんなに乗せたらアイチが苦しい、と心配になったけれど、それはいらないことだったとすぐに思い直す。
現実を思いっきり突きつけられた気分だった。
布団を元に戻す手が震える。
まじまじとアイチの顔を見つめた。
血色がよく、穏やかな顔つき。
じっと彼女の胸元を見ていると、まるで息をしているかのようにすら見えてくる。
いつもと全然変わらない。
「ねぇ、アイチ。嘘だよね?」
そう問い掛けてみたけれど、彼女が笑うことはなかった。
「ねぇ、アイチ」
嘘だよね。
嘘だよね。
アイチがあたしを置いていくなんて絶対嘘だよね。
それをどうにか肯定してほしくて、そっとアイチの頬に手を伸ばす。
「ねぇ、嘘でしょ?」
触れた頬はぞっとするほど冷たかった。