小さい頃に習うこと、大きくなってわかること


駆は同じような表情でシーやんを見てから、首を横に振った。


「愛生からいきなり別れてほしいって言われた。来年からアメリカに行くからそっちを優先したいって」


「サンフランシスコ?」


アメリカと聞いて、そう口に出している自分がいた。


「知ってたの?」


驚いた表情を浮かべる駆に、あたしは首を横に振った。


「来年から行くのは知らなかった。でも昔からいつかサンフランシスコに行くとは言ってたから」



サンフランシスコには捨てられた動物を救うシェルターがある。


日本とは全然違う最先端のそこを、彼女はいつか見に行きたいと言っていた。


それをあたしはよく覚えている。



駆はゆっくりと頷いた。


「サンフランシスコの動物愛護シェルターが、日本からボランティアを募集してるって。だから行くけど、まだみんなには内緒にしておいてくれって。自分の口からちゃんと説明したいからって」


きっともう少ししたら、ちゃんとみんなに話すつもりでいたんだと思う。


それなのに…


「でもそれ、嘘だったんだよね」


その言葉に思わず駆を見る。


駆はゆっくりと話し出した。



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