小さい頃に習うこと、大きくなってわかること
その再会をしばらく喜んでから、あたしはアイチと並んで座った。
彼女のいなかった1年間のことを1つずつ話す。
自分のことはもちろん、ナシラのこと、幼なじみみんなのこと、商店街の人たちのこと、千津ちゃんのこと、多部ちゃんや花帆ちゃんのこと。
けれど、その全部を彼女はちゃんと知っていた。
「じゃあ、わざわざ話させないでよ!」
「だってあんまり嬉しそうに話すからさ」
アイチとそんな言い合いをしながら、ぼんやりと「見守っている」と言うのは本当にあるんだと実感した。
アイチはあたしをまっすぐ見つめると言った。
「真海子、本当にありがとね」
「え?」
「あの男の考え、崩してくれて」
「崩してはないよ。反省はしてたけど。反省したって許せない」
そう怒ったあたしに、アイチは意味あり気な笑みを浮かべて言った。
「いや、あの男は考え方変わったよ。だからあたし、めちゃくちゃ救われた」
あたしはあれ以来、あの男に会っていないけれど、アイチにはすべてお見通しなのかもしれない。
ユーレイってどこまでお見通しなんだろう。
それを聞いてみようかなと思った時だった。