小さい頃に習うこと、大きくなってわかること
「でも1つ、どうしても言わなきゃいけないことがある」
アイチはそう言って、真面目な顔になると、聞いた。
「何でトラックに飛び込んだの?」
あたしは手の中にあるネックレスを見ながら答えた。
「アイチを守れなかった分、関わる物ももう傷付けたくなかったの」
アイチはあたしをまっすぐに見ると、少し怒ったような顔で言った。
「そんなことのために自分を犠牲にするな。死んだら終わりなんだよ?」
その言葉を聞いて、あたしはずっと不安だったことを口に出した。
「アイチは自分を犠牲にしたこと、後悔してる?」
「するわけないじゃん!」
彼女はまず力を込めてそう言ってから、続けた。
「あたしは、みんなの幸せには、自分の命を懸けるほどの価値があったと思ってる。後悔は全然してない。でもよかったとも思わない」
アイチを見ると、彼女は珍しくうつむいていた。
そしてそのままで続ける。
「正直、まだまだみんなと生きてたかったよ。みんなでエッグにたまって、ナシラでたまに活動して、そうやってみんなとこの先も生きてたかった。だからその分、真海子たちには幸せに生きてほしいんだよ」