小さい頃に習うこと、大きくなってわかること
「1分って難しいな」
駆、先に気付いてほしかった。
やっと顔を上げたシーやんが真面目な顔で言う。
「気持ちだよ、気持ち」
まぁ、確かにその通りだとは思うけれど。
色とりどりの花と、濡れて太陽の光を反射するお墓。
そこに漂う線香の白い煙をみんなはただしばらく見つめていた。
もし、アイチがここにいたら、あたしたちと同じように少し大人っぽくなっているんだろうか。
「じゃあな、愛生。また来るな」
そう言って駆が歩き出すと、その後に勝ちゃんも続く。
あたしたちナシラは、その場を動かずにただじっと濡れて光るお墓を見つめていた。
「なぁ、昔さ、あたしたちのグループ名決めてた時、愛生がやたらナシラセブンにこだわってたの覚えてるか?」
シーやんはお墓を見つめたままで言った。