小さい頃に習うこと、大きくなってわかること
どうしてこんなことをしているのかは、やっぱり今も理解できない。
でも今はその現実を受け止められるだけの力がある。
あたしはきっと少し頼もしくなった。
ねぇ、アイチ。
アイチがあたしに言った「誰かを犠牲にしなきゃ自分が生きていけないのかもしれない」って言葉、あたしがそんなことないって証明してあげるからね。
アイチが嫌った生き方を、あたしは自分の幸せのために取ったりしない。
あたしは誰かを犠牲にすることなく、自分の幸せを手に入れてみせる。
もしそれで幸せに生き切ることができたなら、アイチの言った言葉を否定することができるから。
次に会う時はそれを否定できたことを1番に伝えたい。
「また会おうね」
そう言って微笑んだ瞬間、風が吹いた。
彼女の姿は見えないけれど、今日も側で見守ってくれているみたいだ。
あたしはお墓に向かってニーッと笑ってから、シーやんたちの後を追った。