小さい頃に習うこと、大きくなってわかること
「マジでわりぃ。あー、何か、何にも知らない子にいろいろ教えちゃった気分」
そう駆が言った時、エッグのドアは乱暴に開いた。
カランカランとなるはずの鈴が、神社の鈴みたいにガランガランと鳴っている。
入ってきた勝ちゃんは思いっきり駆の胸ぐらを掴んだ。
「てめー、真海子に何しやがった!」
そんな勝ちゃんの腕を駆は何度も叩く。
「誤解、誤解!なっ、真海子?」
「知らなーい」
チェリー風にとぼけてみると、勝ちゃんはさらに胸ぐらを締め上げる。
「てめぇ」
「ちょっ、真海子!誤解だって言えよ!」
「知らない」
そう言ってそっぽを向きながら、何だか笑いが止まらない。
「おーっす!って何やってるんだ、お前ら!ケンカか!?」
シーやんがファイティングポーズを取ったかと思えば、後ろから入ってきたチェリーは両頬に手をあてて一言。
「勝ちゃんと駆ってそう言う関係だったの!?」
どうしたらそう見えるんだ…。
「てめぇ、真海子に何した!?」
「だから誤解だって、誤解!」
「ケンカだな。原因は何だ?」
「まさか勝ちゃんと駆にそっちの趣味があったなんて」
何だかもうめちゃくちゃだ。
けれど、あたしたちはこんなにも楽しくやっている。
アイチ、安心してよ。
心の中でそう思える自分がいた。