小さい頃に習うこと、大きくなってわかること
その日のエッグであたしたちはソフトドリンクを卒業した。
もちろん、お酒を飲むこと自体は初めてじゃないけれど、エッグで飲むのは成人式の日にしようと決めていた。
修介にもらった酎ハイの詰め合わせを、あたしたちは次から次へと空けていった。
おかげで0時を過ぎる頃には、完全にみんな酔っ払い状態だ。
「眠ぃ…」
駆はそう言って、1つ大きなあくびをした。
酔いが回っているせいなのか、酔いのピークを過ぎているからなのか、飲み始めは騒がしかったあたしたちも、今ではぽつりぽつりと会話をする程度になっている。
それにしても眠い。
よく道端で寝てしまう人がいるけれど、その気持ちがわかるような眠さだ。
そんな時、勝ちゃんの声は響いた。
「なぁ…」
彼はそう言いかけたっきり、なかなかその先を言おうとしない。
心なしか勝ちゃんだけ酔いが覚めているような気がした。
「何だよ、そんな真剣な顔して」
シーやんが明るくそう言っても、彼は真剣な顔をしたまま、ただじっとカウンター席やテーブル席を見回している。