小さい頃に習うこと、大きくなってわかること
この日はみんなでデザインしたポストカードが思いのほか好評で、だるい暑さなんか忘れてしまうくらい嬉しかった。
全員の満足そうな笑顔に、その思いが表れている。
「はいっ、真海子にもっ」
チェリーは全く同じ写真をあたしにもプレゼントしてくれた。
「ありがとう」
それを受け取ってはみたけれど、1枚にしては何だか厚みがある。
その下にもう1枚あることに気付いてめくってみると、そこには優しい表情でブーケを作っている勝ちゃんの姿があった。
それを頭が認識したと同時に、手は素早く写真を裏返す。
心臓をバクバク言わせながら、チラッとカウンターの様子を伺ってみると、勝ちゃんは駆とワールドカップの話で盛り上がっていた。
よかった。
見られていないし、聞かれていないし、バレてもいない。
とりあえず、そのことに安心しつつも、すぐにチェリーに視線を送る。
彼女はそんなあたしの視線にも一切動じず、それどころか舌を出してからかうような笑みを浮かべていた。
そのすぐ前にいるシーやんもニヤニヤしながらタバコの煙を吐き出す。