小さい頃に習うこと、大きくなってわかること
声を出すわけにはいかないから、口だけを動かして、2人に抗議する。
『何、やってんの!?』
「やるじゃん、チェリー」
横から聞こえた声に思いっきりアイチを見ると、彼女もまた、2人と同じ笑みを浮かべていた。
「あたし、偉くない?」
そう言って得意気な顔をするチェリーに、アイチとシーやんは拍手を送る。
冗談じゃない。
本人の前で、おそらく隠し撮りしただろう写真を渡されるなんて、そんな心臓に悪い恐怖体験はしたくない。
「今度はもっとヤバいの撮ってきてあげるからねっ」
笑顔でそんなことを言うチェリーには、本気でぞっとする自分がいた。
「また何か楽しそうなイベント見つけようぜ」
チェリーの前に座っているシーやんが、見ていた写真を置いて、みんなに視線を送る。
「賛成、賛成!夏なんだし、もっと楽しいイベントいっぱい見つけようよ!」
チェリーはそこで1回、言葉を切ってから、強調するように続けた。
「ナシラらしくさ」