小さい頃に習うこと、大きくなってわかること


「バイクでツーリング行こうよ」


「却下」


ほらね。


アイチが絶対黙っていない。


「おい、お前、いい加減後ろ乗せてやれば?」


毎回、アイチとあたしのこのやり取りを見ているシーやんは、また今日もあたしの味方に付いてくれる。


けれど、アイチは絶対、頷きやしないに決まっている。


「ダメだって。あたし、運転下手だから」


なんて嘘だとバレバレのいつもの言い訳をする。


「お前、あたしより全然うまいじゃん」


シーやんが何度もしてくれた説得をまた始めてくれるけれど、アイチはやっぱり頷かないままだ。


どうして彼女はここまであたしが後ろに乗るのを拒否するんだろう。


この頑固。


心の中でそう言ってみた時、また提案があった。


「渋谷!」


「原宿!」


それなら、と思ったけれど、それを提案した声はまるでオカマ。


それもそのはず、声の主は勝ちゃんと駆だ。


「お前ら、ナシラじゃないだろ」


シーやんがそう冷たい視線を送ったけれど、2人はまだオカマをやめない。



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