小さい頃に習うこと、大きくなってわかること
「あらやだ、ナシラよねぇ」
「そうよー。そうに決まってるじゃない」
男が声を高くした独特の声に、チェリーが大袈裟に耳を塞ぐ。
「気持ち悪いからやめて」
しかし、その声は提案をやめない。
「池袋」
「お台場」
「木更津」
「キャッツアイ!」
キャッツアイは場所じゃない。
「でも木更津いいかもな。行きてー」
シーやんがそう言うと、チェリーも頷く。
「あたしも思った」
「いいね、行こっか」
アイチがそう言ってから、あたしも最後に「賛成」と、声を揃えた。
「お土産買ってきて。ストラップ」
男声に戻った駆が、商品限定でお土産を頼む。
と、勝ちゃんもカウンターの中から大きく手を挙げた。
「おれも、おれも!」
けれど、駆はすぐに嫌そうな顔をする。
「それ、お前とペアになっちゃうじゃん!」
そう言われた勝ちゃんは、すぐに真顔でシーやんを見た。
「駆の分はいらないから」
けれど、駆だって黙っていない。
「はぁっ!?おれが先に言ったんだからな!」