小さい頃に習うこと、大きくなってわかること


「あらやだ、ナシラよねぇ」


「そうよー。そうに決まってるじゃない」


男が声を高くした独特の声に、チェリーが大袈裟に耳を塞ぐ。


「気持ち悪いからやめて」


しかし、その声は提案をやめない。


「池袋」


「お台場」


「木更津」


「キャッツアイ!」


キャッツアイは場所じゃない。


「でも木更津いいかもな。行きてー」


シーやんがそう言うと、チェリーも頷く。


「あたしも思った」


「いいね、行こっか」


アイチがそう言ってから、あたしも最後に「賛成」と、声を揃えた。


「お土産買ってきて。ストラップ」


男声に戻った駆が、商品限定でお土産を頼む。


と、勝ちゃんもカウンターの中から大きく手を挙げた。


「おれも、おれも!」


けれど、駆はすぐに嫌そうな顔をする。


「それ、お前とペアになっちゃうじゃん!」


そう言われた勝ちゃんは、すぐに真顔でシーやんを見た。


「駆の分はいらないから」


けれど、駆だって黙っていない。


「はぁっ!?おれが先に言ったんだからな!」



< 51 / 312 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop