小さい頃に習うこと、大きくなってわかること
「真海子はもっとプラス思考になった方がいいと思うけどなぁ」
金髪をポニーテールにまとめたシーやんが湯船に入って来ながら言う。
プラス思考…。
確かにあたしは基本的にマイナス思考な人間かもしれない。
「無理にとは言わないけど、早く気持ち伝えてあげた方がいいと思うよ?勝ちゃん、他の女の子に盗られちゃったら嫌でしょ?」
アイチにそう言われて、自分の中に浮かんだ気持ちは明確だった。
「やだ…けどさ」
やだけど、どうすればいいのかわからない。
事の始まりは3ヵ月前、勝ちゃんに告白されたことだった。
その時、あたしはもう勝ちゃんに恋愛感情を抱いていたし、ものすごくその想いは嬉しかった。
ただ、心配していた通り、どうしても自分も同じ気持ちだと伝えることができなかった。
いや、一応、好きだとは言えたんだ。
けれどそれは恋人としての好きじゃなく、友達としての好き。
突然の告白に焦ったあたしは、真剣な勝ちゃんの告白を友達としての好きにすり替えて、「あたしも好きだよ」なんて軽く笑い飛ばしてしまった。
その先に起こったことはまだみんなにも話せていない。