小さい頃に習うこと、大きくなってわかること
飾られたトロフィー
真っ暗な部屋に明かりをつけることにはもう慣れた。
中学校に上がった春から、あたしはずっと1人暮らしも同然の生活を送ってきている。
親は両親共に健在だけれど、あたしが7歳の時に離婚していて、出て行ったお母さんには既に新しい家族がいる。
お父さんはあたしが中学に上がるまでここに住んでいたけれど、春になる頃、仕事の関係だと海外に行った。
今では、社名入りの封筒に入った、新しい連絡先だけの印刷された手紙がたまに届くぐらいで、誰とどんな生活を送っているのか、どんな仕事をしているのかすらよくわからない。
ただ、毎月、あたし1人には十分過ぎる生活費が欠かさず振り込まれているから、仕事はまぁ、うまくいっているんだと思う。
玄関や廊下と同じように、リビングにも明かりをつける。
四角いテーブルの周りを囲む4つのイスのうち、昔、自分が使っていた指定席に荷物を降ろした。
家族がちゃんと機能していた時は、それぞれの席がしっかり決まっていた。
今、荷物を置いたのがあたしの席で、その前がお母さん、その隣がお父さん。