小さい頃に習うこと、大きくなってわかること

恋愛・仕事・暖かな場所



地元の駅「清澄白河」に着いたのは、午後7時を回った頃だった。


6時上がりのあたしは、その後、道具や作業場の片付けをして、それから20分電車に乗る。


清澄白河に着くのは大抵、いつもこの時間だった。


7時なんて帰宅のピークじゃないかと思うけれど、この駅はいつ見ても閑散としている。


近くに、自分も通っていた女子校があるから、その登下校時間には赤いチェックのスカートをはいた生徒たちが固まってぞろぞろと歩いている。


けれど、それ以外の時間と言ったら、ぽつりぽつりとしか人の姿はない。



そんな道を少し早足で、家とは反対の方向に歩き出す。


商店街のスーパーで、夕飯の食材と歯磨き粉、洗剤を買って来なければいけない。


そう言えば、石けんの残りも危機的な状況だった気がする。


ポケットからケータイを取り出して、買わなきゃいけないものをメモしていく。


このまままっすぐスーパーに向かえば、忘れる可能性も低いけれど、その前にちょっと寄っておきたいところがある。


寄りたいと言うより、ちょっと悪趣味だけれど、覗きたい。



< 66 / 312 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop