小さい頃に習うこと、大きくなってわかること
「久しぶりだね。あれからどう?」
アイチがそう聞くと、多部ちゃんは目を輝かせた。
「はい!最近、チームの成績はすごくよくなりました!愛生先輩の作ってくれたメニューをやるようになってから、ホントによくなったんです!」
いつの間にメニューなんて作っていたのか、そう言うところも後輩に慕われる理由なのかもしれない。
アイチは卒業してからも、よく後輩たちの様子を見に高校に行く。
家から徒歩5分ほどの母校にはあたしもよく行くけれど、アイチはそれ以上に行っているし、後輩たちのためを思っている。
そんな先輩だもん、ファンクラブができるのも、リスペクトされるのも、何だかわかる気がする。
「多部ちゃん、これからどこ行くの?」
アイチがそう聞くと、多部ちゃんは答えた。
「これから帰るところです」
「じゃあ一緒に来ない?」
アイチがそう言った瞬間、多部ちゃんの表情が一段と明るくなった。
「行きますっ!」