小さい頃に習うこと、大きくなってわかること
「あいつ、この暑いのによくクレープなんて食う気になるな。あたしは断然かき氷だ」
シーやんはそう言って、かき氷のメニューが何種類も張り出されている屋台の方へと歩き出す。
「あたし、荷物見てる」
正直、座っていたかったこともあって、あたしは荷物の見張り係に立候補した。
「じゃあ、真海子の分も一緒に買ってくるよ。何がいい?」
アイチにそう聞かれてかき氷の屋台の方を見ると、丁度、黄色の文字が目に入った。
「じゃあ、あたし、レモン」
「はいは~い」
そう言って歩き出したアイチの後に駆も続く。
「駆」
歩き出した駆を勝ちゃんの声が止めた。
「おれ、メロン」
そう言った勝ちゃんに、駆はニッと笑って「了解~!」と言うと、アイチの後を小走りで追う。
勝ちゃんはあたしの座っているベンチの斜め横に座った。
勝ちゃんの行動に深い意味はないと思いながらも、舞い上がってしまう自分がそこにはいた。
きっと彼からしたら、ただ買いに行くのが面倒だと言う単純な理由なんだとは思う。
けれど、ここに残ってくれたことがものすごく嬉しい。