花の咲く教室



「白菜…追いかけなくて、いいの?」



黙っている祐志君には反省の様子が見られるが全く動かない。



「……うん。」



「どうして…?」



「僕は…追いかけちゃ、いけないんだ。」



祐志君は悲しそうな顔で小さく呟いた。体は小刻みに震えている。



「え…?」



「…だから…。」



「でも、追いかけなくちゃ…。白菜…怒ってたし…。」



何があろうとも、怒らせたのは祐志君なのだろう。



それはきっと変わらない事実だ。



だから白菜は出て行ってしまったのだ。



「普通、ならね。でも今回はそれが“正解”ではないんだ。」



「どういう…?」








祐志君は何かを隠してる―――――。



一緒にいて間もないあたしにも、なんとなく、それが分かった。







< 60 / 81 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop