花の咲く教室
あの日置いてきたモノ
――――side白菜
「おかしいよ…。祐志……。」
白菜は小さく呟いた。
目にはキラリ、光るものがたまっている。
分かっていた。
分かっていた。
分かってた……。
全て祐志のやってることは自分のためにという事くらい。
『僕は…白菜…先輩のためだったら…闇に染まってもいいんです。
“祐志”は先輩に笑っててほしいだけなんです』
あの日すべてを忘れた――――――。
笑い方も、泣き方も、悲しみも、喜びも。
ココロをどこかに置いてきた。
おいてこなければ今の私はないと思っている。
今も、昔も、きっと、この先も変わらない。
だけど不安になる。これで良かったのか。
ヒマワリのようなあの子から、私が全部奪っていった。
私が奪われた分だけ、私はあの子から奪っていった。
あの子は変わってしまった。
無邪気さも、容姿も…見かけは変わっていない。
だけど変わってしまった。
奪ったのは、私。
“雪城白菜”。あの頃の私じゃない私。