花の咲く教室
そっと制服のポケットに入っているItを取り出す。
「懐かしいな…。もう……この写真なんて捨てちゃえばいいのに…。捨てらんない…。」
笑っている4人の人影。思い出す、あの日。
『ねぇ、白菜ぁ、今度映画見に行こうよ!』
『うん。いいよ。』
『券余ってたんだけど、あんた達も行くー?』
『やったぁー!僕は行きたいなッ、祐志はっ??』
『うん、行く―!』
懐かしい声。鮮やかによみがえる日々。
誰もが笑ってた…。
♪~♪♪
「あ…。」
白菜のスカートの中にあるケータイが音を立て鳴った。
その曲は“彼”が昔作ったものだった。
“涙なんて流さないで 君には笑っててほしいから”
とても優しいメロディの曲で今は顔を出さず「虹のカケラ」としてソロで活動している“彼”が作ったものだった。
もちろんそれを知ってるのは――――白菜を含め数人だけだった。
<DEAR 白菜先輩
メールなんてお久しぶりです。「虹のカケラ」の新曲が出来ました。
暇になったらかまってください。>
「……馬鹿ね。暇じゃなくても行くのに…。」
白菜はゆっくり微笑んでケータイを閉じそのまま学校を出た。