花の咲く教室
ブォォォォン
黒い高級車は大きい豪邸にたどり着いた。
空が黒くなり始めた。雨が降りそうだ。
その天気の様子に気が付き、運転手である40代の男がそわそわしだした。
「ありがと。」
白菜はそれに気がついていながらも無視し車から降りた。
「何時ぐらいまでいらっしゃるおつもりですか…?」
運転手は心配そうに白菜に訊ねた。
「そうね…小一時間、ってとこかしら。」
「かしこまりました。お迎えにまいります。」
ブォォォォン
白菜を置いて車は走り去った。
それを見届けてから白菜はゆっくりその家の門をくぐる。
――――――あの日と同じ、緊張感……。
まだこの家は圧迫する環境でしかないのね…。
よくあの子はこんな所にいられるわ……。