花の咲く教室
「もう、先輩、無理に来なくてもいいんですよ?」
「いいの、別に、暇だったんだから。」
にっこりと白菜が微笑むと“彼”はあの時と変わらない笑顔をくれた。
そう、今の彼は役者である必要がないからだった。
なつかしい、あの頃の、“彼”――――――――
「でも、学校は?」
「単位は大丈夫よ。」
「先輩っ、単位とかそーゆー問題じゃないですよ~!」
心配そうに、だけど明るく“彼”は笑った。
多分、天気の事を気にしてるのかしら。
「そういえば、最近、どう?」
「僕、ですか?どうもこうも…暇ですよ~。
唯一楽しいのは訪問者が来てくれた時と曲作りの時ですかねー。」
「ホント、音楽が好きなのね。そうだ、新曲聞かせてくれる??」
「あ、ハイッ!!ちょっと待っててくださいねッ、いろいろ用意してくるんで。
先輩はその辺にある未発売の曲でも聞いててもらっていいですかっ?」
“彼”は嬉しそうにそう言った。いつだってそう。
“彼”は私に安らぎをくれる。
音楽の話をした瞬間、嬉しそうに目を輝かせる。
「うん、待ってるよ。行っといで。」
その言葉を合図にバタバタと音をたて部屋から出て行った。