花の咲く教室
「―――――――っ……!!」
あまりにも心に響く、切ない歌。
だけど思わず訊いてしまう歌。
聞き惚れてしまう歌。
他の人が歌ったら心になんて残らない。
“彼”だからこそ、残るのだ。
痛みを知った“彼”だから、こそ――――。
思わず目から暖かいものが頬を伝う。
これは“彼”自身の気持ち…、想いなのだ…。
あんなか弱い少年はこんな思いを抱いていた。
泣かずになんて、
「いられないよっ…バカ…。」
もう一度、巻き戻し、再生する。
思わず、口ずさむ。
「…泣き叫んでは消えた声
頬を伝う涙
消えてはかなく…。」
あの子はあの日、泣き叫んだのだろうか?
誰にも聞きいれてもらえなかったのだろうか?
思いは、願いは消えてしまったのだろうか?
CDケースにはところどころ傷があった。
他のと比べ、声も弱く、メロディもずさんだ。
「虹のカケラ」以前に作った歌なのだろう。
「こんなっ…辛い思いして…。
あたしなんかのっ…ために…」
あの日置いてきたもの。
それは、私のココロ
私のココロのはずだけだったのに―――――――。