花の咲く教室



「あれ…先輩??」



いつの間にか、“彼”がギターを持って帰ってきていた。
背中にはバイオリンをしょって。



「あ……。」

「どうかしたんですかっ??悲しい事でもッ…。
あ、こんな日に来てもらったからですかっ!??
すみません、僕が……。」



バイオリンとギターをその辺に置いて必死に謝る“彼”の姿を見て、心配させてはいけない、と白菜は思った。



こんなに可愛い、そして痛みをもっている、“彼”に――――。



「あ、もう大丈夫だから…。それより、曲…聞かせてくれる??」



そっと涙を右手で拭いてお願いする。
本来はそのために来たのだから。



「あ、そのことなんですけど、実は先輩に歌ってほしいんです。」

「私がボーカル??」

「ハイ。でも、いきなりはきついと思うんで、先輩は適当にバイオリンお願いしてもいいですか?僕が先に歌います!」






―――――――あぁ、なるほど。






ようやく理解した。



このバイオリンは、わざわざ来たあたしとコラボするために持ってきたのだと。



こんなか弱い体で一生懸命ここまで運んで来た彼のことを思うと…拒否なんて答えはなかった。



「いいけど…曲は勝手に決めていいの?」

「ハイ!」







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