花の咲く教室
祐志という彼



「ただいまー。」



「おかえりなさいませ、お坊ちゃま。」



「あ、メードさん、これ、鞄ね、部屋に置いといてー?」



祐志は近くにいたメイドさんに上着とカバンを渡すと近くのドアを目指した。



そこには階段があり、その階段を行った先には“彼”がいる。



「あの、お坊ちゃま…どちらに?」



わかってて聞くんだ。



ひどいメイドさんだね、僕だったらこんなの雇わないけど。



「明日、テストあるんだ、小テスト。だから。」



「かしこまりました。」



祐志はゆっくり階段を下りて行った。



明日小テストがあるというのはウソだ。



あるのは明後日。しかも祐志が得意な歴史。



だから別に“彼”でなくても良かったりする。



だけど嘘をついたのは祐志なりに“彼”への気遣いとねぎらいでもある。



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