花の咲く教室
「おはよー、祐志君!」
「…おはよー、キレーなおねーさんたち!」
「キャァァー祐志くぅーん!!」
…えと、こんな感じだったけ?
学園での「祐志」はいつもお茶らけていて、成績は良くて、白菜先輩のファンで。
とにかくフザけていればよかった。
「雪城さぁぁぁぁん―――!」
正門のところで先月の定期テストで来た時と同じ、男どもが雪城白菜に声をかける。
…先輩だ。
先輩は本当に美しい。
目とか、鼻とか、口とかのラインがきれいなくらいに整っている。
そればかりかきれいに伸びている後ろの髪と冷たいようで優しい心に少しでも触れた男たちはこのざまである。
あ、僕は「祐志」、なんだった。
「せんぱぁぁぁ―――――い!おはよ―ございます―!!」
急いで先輩のところへ駆けだす。
一瞬、YUSHIシステムのデータベースにあった須田つぐみという少女がこちらを見たが気にしなかった。
僕は僕の仕事をこなすだけだ。
先輩はムシをしようとしていたが刹那こちらを見て、
「…祐志。」とつぶやいた。
やっぱり僕が演じていたのがもうバレたみたい。
僕ってそんなに「祐志」になれていないのかな?