ひかり。




―翔くんの部屋。






当然だけど、初めて来た。

すっごい綺麗だな。



テーブルに、中学生らしく
PSPのソフトが
散らばっているけど、
ゴミひとつ落ちている
様子はなかった。






紺のカーテンに
黒のベッド。


その横には
サイン入りの野球ボールと
使い古したグローブ。


他にもたくさんの
メダルが置いてあった。



難しい事はよく
分からないけれど

個人での賞を
沢山もらっているようだった










本当にすごい人なんだなあ


本来ならばあたしみたいな
落ちぶれとは全く
縁のないような
遠い遠いキラキラした
場所にいる人だった





翔くんは学校にも
沢山の友達がいて、
その中でも
中心にいるような人で、


“いじめ”とか
“非行”とか
全く似つかわしい人。


運動神経は
人とは並外れていて
当然、モテた。




早く言えば
あたしとは釣り合わない。



最近は、慣れたけど
結構裏で言われてたりもした




【あたしのが
昔から好きだったのに…】

【後輩のくせに…】



理不尽なひがみが
ほとんどだけど
その中でもいくつか
心に突き刺さるものもあった








本当に…
あたしなんかで
いいのかな?
































「まーたなんか変な事
考えてねえだろうな?
何に悩んでるかは
俺にはわからねーけど
紅葉ちゃんは
マイナス思考過ぎる
だけなんだから
あんま深く考えんなよ?
堂々としてりゃいいんだよ」



























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