ひかり。
翔くんのお母さんが
笑顔でこちらに
手を振っている。
あたしは笑顔でお辞儀して
翔くんのちゃりの
後ろに乗った。
「はぁ…」
大きなため息がこぼれる
「どうした?あんま
楽しくなかった?」
「いえすごい
楽しかったですよ!
今日は
ありがとうございました」
「…………そか。
ならよかった!!
俺の母さんも
紅葉ちゃんのこと
すごい気に入ってた!」
うん。優しかった。
今日1日で距離が
すごい縮まった気がする
幸せで、あたしが
今まで味わった事のない、
これから
味わえるはずのない、
貴重な“家族”と
いうものを体験した
大きなため息を
ついたのは…
あたしがこれから
帰る場所のこと。
現実に引き戻される瞬間。