ひかり。
キィー…
自転車が止まる。
「今日はありがとうございました!お母さんとお姉さんにも宜しくいっといてください」
「うん!じゃあねっ」
見えなくなるまで
手をふって
あたしは家に帰る。
リビングにいると
お父さんとお母さんが
珍しくいた。
「俺は疲れてんだぞ。
飯もないのか?!」
「あたしはこれから
夜勤なのよ!
忙しいの!あなたと違って
浮気してる暇もない位ね!」
「自分の事ばっかり
棚に上げやがって!
今は彼氏がいないだけだろ!」
バチンっ―…
「キャーっ」
お母さんの泣き叫ぶ声と
お父さんの怒鳴り声。
「あのさぁ、どうでも
いいけどそんなうるさいと
苦情来るよ?
まずいんじゃない?」
あたしが話しかけると
お父さんが
荒い口調で言った
「親に口出しするな!!」
―…したくて
してるわけじゃねーよ
「心配してんのは
お前らじゃなくて
日頃あんたらが
大切にしてる建て前だよ
見栄張りたいなら
もう少し声小さくすれば」
部屋が静まり返る。
「―…っ
もういい!俺は
出かけてくる」
―ッ、始まった。
きっと行くのは浮気相手の所
「行ってらっしゃーい」
あたしは部屋に戻る。
しばらくして
お母さんも仕事へ行った。