ひかり。



……………



長い沈黙が続く。




「あのっ」





先に沈黙を破ったのは
翔君の方だった。





「…あの、1人なの…?」






「はい。お母さんは夜勤で。」




「看護士だっけか。
お父さんは?」








「………ぉ…んなの………、」






「え?」








「女の人の…所に行きました」




「…………」







―…………引いたよね。


当たり前だよ。
こんなどろどろな
あたしを知ったら…





明るい世界にいる
翔君には

暗すぎるよね。





それとも馬鹿らしいかな?





暗くて、重い。

ドロドロで汚い。





けど、周りから見たら

両親が揃ってて。

仲の良い家族で。







「夫婦喧嘩?
そんなのうちんちもあるよ~」


「楽な生活させてもらってるだけ有り難いと思え」







そんな言葉が
返ってくるだけ。




他人の不幸話は
みんな面白がるっていうけど


あたしの話は
面白がってもくれない。








刺激が足りない?








あたしには足り過ぎてるよ。






どこにでもある話?





傷の舐め合いが
したいんじゃない。









同情が欲しいんじゃない。



理解してる訳じゃないでしょ?

その場しのぎの
あいづちなんでしょ?


ほんとは引いてるんでしょ?










―…また、一筋の涙が
あたしの頬をつたった







< 39 / 60 >

この作品をシェア

pagetop