ひかり。
……………
長い沈黙が続く。
「あのっ」
先に沈黙を破ったのは
翔君の方だった。
「…あの、1人なの…?」
「はい。お母さんは夜勤で。」
「看護士だっけか。
お父さんは?」
「………ぉ…んなの………、」
「え?」
「女の人の…所に行きました」
「…………」
―…………引いたよね。
当たり前だよ。
こんなどろどろな
あたしを知ったら…
明るい世界にいる
翔君には
暗すぎるよね。
それとも馬鹿らしいかな?
暗くて、重い。
ドロドロで汚い。
けど、周りから見たら
両親が揃ってて。
仲の良い家族で。
「夫婦喧嘩?
そんなのうちんちもあるよ~」
「楽な生活させてもらってるだけ有り難いと思え」
そんな言葉が
返ってくるだけ。
他人の不幸話は
みんな面白がるっていうけど
あたしの話は
面白がってもくれない。
刺激が足りない?
あたしには足り過ぎてるよ。
どこにでもある話?
傷の舐め合いが
したいんじゃない。
同情が欲しいんじゃない。
理解してる訳じゃないでしょ?
その場しのぎの
あいづちなんでしょ?
ほんとは引いてるんでしょ?
―…また、一筋の涙が
あたしの頬をつたった