Lover×DreamerⅠ


ふと、思う。


あたしはなんのためにここにいるんだろう。あたしは誰かに必要とされているのかな?


――――天音唯花は、誰に必要とされてるんだろう?


カコーンッ


「やばっ、王子カッコイイ!!」


「輝きすぎてるって!」


授業中、前の席の女の子たちからそんな声が聞こえてきた。


…あ、いおちゃんだ。


どうも、伊織のクラスは授業中らしく、野球をやっている。


いおちゃんがヒットを出したみたいで、いおちゃんと同じクラスの女の子が授業そっちのけで、キャーキャーと黄色い声援を送っている。


やっぱいおちゃん凄いな…。


その中でも男女問わず人気な、目立つ女の子がいおちゃんの目の前に現れて。


“はい”


と、いったような感じの口を開いて、そしてタオルを渡した。


“ありがとう”


いおちゃんの口がそう告げて―――――…女の子の手からタオルを取る。


とてもお似合いな二人。どこか初初しさが残る二人。


きっと、これが山名ほのかじゃなかったら確実にブーイングだと思う。


…というより、“制裁”が行われる。



< 4 / 8 >

この作品をシェア

pagetop