社長のご指名 *番外編Ⅱ*
テレビに夢中になっていた俺は、吐息混じりに聞こえた声にガバッと顔を上げた。





「ままぁー!」





そこには怒ったような呆れたような表情で立つ章菜がいて、鈴がすかさず呼び手を伸ばす。





「鈴っ。ただいまぁ。いい子にしてた?」


「うんっ。にんじんたべたっ。」


「本当ー!いい子、いい子。」





鈴を抱き締め優しく頭を撫でるのはアキじゃなくて、俺の愛妻の章菜。





「ままぁーっ。」


「紗衣っ。ただいまぁ。」


「ままっ、ままっ。おかえりっ。」




章菜と紗衣が抱擁してるところで俺も席を立つ。





「おかえり。」


「うん、ただいま。」





おかえり、ただいまと言い合うのは良いもので、それだけで幸せになれる。





「行こうか。ここにいちゃ囲まれていつ抜け出せるかわかんない。」




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