白虎連合Ⅳ
一瞬、本当に一瞬だった。
だから何が起こったか分からなくて。
「英寿くん!!!」
バイクからずり落ち、口を抑える龍。
拳を赤く染めて、再び英寿くんは龍の胸倉を掴んでいて。
龍の口から血が垂れている。
英寿くんが殴ったから。
思わず走り、背後から抱き付いて静止させようとするけど。
力が、半端ない。
「離せや、ゆい」
「あかんって!!!」
「邪魔やねん」
低い、冷たい声が突き刺さる。
それでも私は力を込めて抱き付いたまま。
なんでこんなことになるん。
なんで二人が喧嘩するん。
冗談やって言って。
ふざけただけやからって言ってや。
「龍、立て」
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