白虎連合Ⅳ
「そろそろ普通に運転したるわ」
「……………」
日も落ち、星が顔を出した頃。
今は何県か分からない所でバイクはゆっくり進む。
そして私は拉致られたまま。
とにかく普通の運転に戻って良かったけれども。
「生きてるか?」
「…なんとか」
「ほなええけど」
「はぁー…」
多分当分帰して貰えへんな。
なんとなく、諦めと共に溜め息を吐いた。
後ろのバイクのお陰で、足元が明るい。
けど、空は満天の星空。
「曇らへんかな」
「星まだ嫌いなんけ」
「まぁ、…なんで知ってるん?」
「当たり前やろ、俺の舎弟やねんし」
軽く笑う英寿。
私は無表情のまま、空から視線を外し目の前の背中を見つめた。
風で靡く襟足。
香る香水の匂い。
何かが、足りない気がする。
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