白虎連合Ⅳ





急に押し寄せる恐怖。

辛い映像だけが頭を巡る。






でもこの恐怖に勝てば。

耐えれば記憶が戻りそうな気がするのに、








「ゆいさん、戻りましょか」


「…え?」


「俺と二人でいるより、みんなと居る方がいいかもしれませんし」


「は?」


「だって辛そうな表情してますから」








違う、違うから。

今必死に耐えてんねん。




けどその思いは届かなく、買った飲み物を二本持ち龍は歩いていく。







聞いて、聞いて。

待って、行かんといて。







その思いを秘めて、走り出す。

今龍が居なかったら、思い出せそうにない。







もう何も覚えていない私は嫌。









おぼつかない足で走り、手を差し伸ばす。

、が。











足元の大きな石に気付かなかった。








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