お前のためなら死んでやる2
XXX
「ハル、どっか行こ?」
冬休みが始まった。
「どこ行きたいの?」
どこって言われても…
「そうだ!“ber.tomoki”って知ってる?」
「んあー、知ってる。ピアノと歌姫で有名な店だろ?」
「歌姫?何それ」
「『彼女の歌声は、綺麗すぎてる。誰でも魅了するその声は、王子をも魅了する』って話知らない?」
「知らない。」
「だから、“歌姫”。」
「それ多分あたしの事なんだけど。」
だって歌ってんのあたしだけだし。
「え!?優音あそこで歌ってたの!?」
「ん。最近行ってないけど…」
そういえば、全然行ってない。
まぁ知樹さんには好きな時にこれば良いって言われてたし…。
「じゃあ今から行こうよ!俺優音の歌聞きたい!」
「…まっいいよ。歌うの好きだし。」
あたしたちは、久しぶりの“ber.tomoki”に足を運んだ。