お前のためなら死んでやる2

カランコロン

客を知らせるベルがさらに懐かしさを増させた。

「知樹さん。お久し振りです。」


「優音ちゃん!もう心配してたんだよ?連絡がないから…」

いろんな人に迷惑をかけてしまっていたのかな?

「すいません。あの急な話ですけど、今日歌っても大丈夫ですか?」

「何言ってるんだ!」

やっぱり駄目だよね…
いくら知樹さんに誘われたからってあたしはバイトの身だし。

「もう今すぐやってもらいたいとこだよ。常連さんなんかいつも『今日は歌の子いないの』って…皆待ってたんだから!」


待っててくれた。
あたしを必要としてくれてるって事なの?

「あたし、歌いたいです。常連さんにまた聞かせたいです、あたしの歌を。」

聞いてくれるなら歌いたい。
必要とされるなら、ずっとここで歌っていたい。

そう思えた。

ここに来て良かった。

知樹さんに出会えて良かった。

ハルにもこの気持ちを伝えたいと。

そう思えた。


「じゃあいつもの時間に来てもらえる?それまで、時間つぶしてもらっちゃうけど…そこの彼と」

「ハイ。それじゃまた後ほど伺います。」

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